日本代表がブラジル代表に惜しくも敗れた2026年ワールドカップ・ラウンド32。
試合後、多くのサッカーファンの心を打ったのが、ブラジル代表FWマテウス・クーニャが涙を流す田中碧選手に歩み寄り、優しく抱擁したシーンでした。
一方で、そのクーニャは試合後、日本ベンチ方面へ「5本指」を掲げるジェスチャーを見せたことでも話題になっています。
「田中碧を慰めた優しい選手なのに、挑発もしていたの?」
このギャップに驚いた人も多かったはずです。
ただ、二つの行動を並べて見ると、クーニャの性格は単純に「いい人」「挑発的な人」だけでは説明できません。
そこに見えるのは、ピッチでは熱く戦い、試合が終われば相手への敬意を忘れないブラジル人アタッカーらしい人間味です。
クーニャはどんな性格?田中碧を慰めた理由とは
試合終了後、終盤のプレーを悔やみ、涙を流して崩れ落ちた田中碧選手。
日本の選手やスタッフが声を掛ける中、ブラジル代表のクーニャも田中選手に寄り添い、肩を抱いて言葉を掛けました。
勝った側の選手が、敗れた相手の痛みにすぐ反応する。
これは簡単そうに見えて、なかなかできることではありません。
試合後のクーニャは、田中碧選手について素晴らしい選手だと評価し、日本代表が世界最高レベルのチームの一つだという趣旨の言葉も残しています。
田中選手とは欧州クラブでの対戦経験もあり、ただの相手選手ではなく、実力を知る存在だったのでしょう。
だからこそ、あの抱擁はその場だけの優しさではなく、一人のサッカー選手として田中碧を認めていたからこそ出た行動に見えます。
5本指ポーズは挑発?ブラジル代表としての誇りも
一方で、クーニャは試合後に日本ベンチ方面へ「5本指」を掲げたとも報じられています。
このポーズは、ブラジル代表が誇るワールドカップ5度の優勝を示すものと見られています。
報道では、試合前に日本代表FW塩貝健人選手が「今のブラジルは昔ほど強くない」という趣旨の発言をしたことへの反応だったとも伝えられています。
つまり、クーニャとしては
「ブラジル代表を軽く見るな」
というセレソンのプライドを示したかったのかもしれません。
もちろん、相手側からすれば挑発的に見える行動です。
そこはきれいごとでは片づけられません。
ただ、その後に田中碧選手を慰めた姿まで見ると、クーニャが日本を見下していたとは言い切れないでしょう。
むしろ、試合では国を背負って熱く戦う。
でも、試合が終われば相手の努力を認める。
この切り替えこそ、クーニャのギャップなのだと思います。
優しさと闘争心が同居している。
だからこそ、少しややこしくて、でも妙に人間らしい選手なんですよね。
クーニャの経歴や人柄が分かるエピソード
マテウス・クーニャは1999年生まれのブラジル代表FWです。
ブラジル北東部パライバ州ジョアンペソアで育ち、幼い頃からフットサルに親しみ、その中で高いテクニックを磨いてきました。現在の細やかなボールコントロールや狭いスペースでの突破力は、この頃の経験が土台になっていると言われています。
そんなクーニャですが、サッカーだけに打ち込んできたわけではありません。
家族は教育熱心で、「サッカーは人生のすべてではない」「学校で学ぶことも大切」という考えのもと育てられました。幼い頃には、試合があっても勉強を優先するよう求められることもあり、その経験が現在の落ち着いた人柄につながっているとも言われています。
プロ入り後も家族への感謝をたびたび口にしており、結婚式では家族や友人への思いを語る姿が話題になりました。現在は妻と子どもを大切にする家庭人としても知られています。
また、イングランドでプレーしていた際には、病気と闘う少年ファンとの交流も多くの人の心を動かしました。
一度だけのイベントではなく、継続して交流を続ける姿勢に、「本当に優しい選手」「人間性が素晴らしい」と称賛する声が相次ぎました。
チームメイトからはムードメーカーとして親しまれ、笑顔を絶やさない明るい性格でも有名です。
本人もインタビューでは、
「ピッチの外では自分らしく、謙虚でいたい。誰とでも話し、みんなを尊重したい」
という趣旨の考えを語っています。
一方で、ピッチに立てば誰よりも熱くなるタイプでもあります。
日本戦後に見せた5本指ポーズにはブラジル代表としての誇りが表れ、一方で試合が終わると涙を流す田中碧選手へ真っ先に駆け寄りました。
この二つの行動は正反対に見えますが、国を背負う闘争心と、相手選手へのリスペクトを両立できることこそ、クーニャという選手の大きな魅力なのかもしれません。
田中碧への抱擁が世界で称賛された理由
今回、多くの人が感動したのは、クーニャが田中碧選手を慰めたからだけではありません。
相手は、自分たちブラジルを最後まで苦しめた日本代表でした。
ブラジルは劇的な逆転勝利を収め、日本はあと一歩で敗退となりました。
試合終了後、終盤の失点につながる場面を誰よりも悔やみ、その場に崩れ落ちた田中碧選手へ、クーニャは迷うことなく歩み寄ります。
勝利の喜びに浸るのではなく、悔しさの中にいる相手へ最初に手を差し伸べた姿が、多くの人の心を動かしました。
SNSでは、
「リスペクトの塊」
「これぞスポーツマンシップ」
「日本代表を本当に認めているからこその行動」
といった称賛の声が広がりました。
一方で、田中碧選手には厳しいコメントも寄せられましたが、それ以上に
「田中碧だけの責任ではない」
「ここまでブラジルを追い詰めた日本代表を誇りに思う」
「泣かないでほしい」
と励ます声も数多く見られました。
クーニャが見ていたのも、一つのプレーではなかったのでしょう。
90分以上にわたって日本代表を支え、最後まで戦い抜いた田中碧選手そのものだったように感じられます。
5本指ポーズでブラジル代表の誇りを示し、その直後には敗れた相手へ敬意を示す。
一見すると矛盾しているようですが、クーニャの中ではどちらも自然な行動だったのかもしれません。
国を背負う闘争心と、相手をリスペクトする心。
その両方を持ち合わせているからこそ、クーニャという選手は世界中のサッカーファンから愛されているのでしょう。