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「推し俳優とキスしたい」富豪女性が自腹でドラマ制作?60回超のキスで起きた騒動

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「推しに会いたい」「一緒に写真を撮りたい」。

推し活をしていれば、そんな願望を持つことは珍しくありません。

ところが中国で話題になったのは、その何段階も先を行くエピソードでした。

富豪女性が自ら資金を出してショートドラマを制作し、自分がヒロインとして出演。さらに気に入った若手俳優を相手役に指名し、キスシーンを60回以上に増やしたと報じられているのです。

「お金持ちの究極の推し活」と聞けば、最初はちょっと笑ってしまう話かもしれません。

ただ、撮影現場で何があったのかを知ると、印象はかなり変わります。

相手役だった新人俳優・钟宇飞(鍾宇飛)は、台本の範囲を超えた行為があったと訴えています。

なぜキスシーンはそこまで増えたのか。

そして、完成したドラマはどうなったのか。

話題になった『落魄王爷』をめぐる騒動を追います。

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富豪女性は本当に推しとのキス目的でドラマを作った?

報道されている内容を見る限り、このドラマはかなり特殊な経緯で制作された作品です。

作品名は**『落魄王爷(落魄王爺)』**。

古装、つまり中国の時代劇スタイルで作られたショートドラマで、2025年10月ごろに撮影されたとされています。

中心となるのは、落ちぶれた王爺と王妃の恋愛。

設定だけを見ると、ショートドラマではそれほど珍しくないラブストーリーです。

ところが普通ではなかったのが、ヒロイン役でした。

制作費を出した女性投資家本人が、王妃役として出演していたのです。

しかも、王爺を演じる男性俳優として直接指名されたのが、当時23歳ほどだった新人俳優の钟宇飞。

つまり、

「好きな俳優が出演する作品にお金を出す」

ではありません。

「自分で作品にお金を出し、自分がヒロインになり、気に入った俳優を相手役にする」

という形だったわけです。

ここまでなら、ものすごくお金のかかった夢の実現とも言えます。

自分で出資して、自分が主演する。

オーダーメイド作品なら、「こんなドラマが見たい」という希望を出すこと自体も不思議ではありません。

問題は、その影響力がどこまで撮影内容に入り込んだのか。

『落魄王爷』では、当初の脚本にもキスシーンがあったとされています。

その数は10数回程度。

それでも十分多く感じますが、ここから数字が一気に跳ね上がります。

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キスシーンが10数回から60回超に増えた舞台裏

当初10数回だったとされるキスシーンは、最終的に60回以上へ増やされたと伝えられています。

数回追加したというレベルではありません。

ざっくり4~5倍です。

しかも『落魄王爷』は50話前後のショートドラマ。

単純に考えても、ほぼ1話に1回以上のペースになります。

制作スタッフ側も、この変更には反対したとされています。

キスシーンを増やしすぎれば、当然ながら物語のテンポがおかしくなる。

恋愛ドラマとはいえ、ずっとキスしていればいいわけではありません。

スタッフからは、ほとんど「数歩進むごとにキスする」ような状態になるとして、見直しを求める声が出たと伝えられています。

ところが、投資家側は譲らなかったそうです。

その際に語ったとされるのが、

「私の方がショートドラマをたくさん見ている」

という趣旨の言葉でした。

なかなか強い。

制作のプロに対して、視聴本数で押し切る形です。

もちろん、自分のお金で作る作品なら、希望を出すこと自体がおかしいわけではありません。

ただし、相手役は生身の俳優です。

ここが、この話を単なる「お金持ちの豪快な推し活」で終わらせられないポイントでした。

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相手役の新人俳優が明かした撮影現場の実態

騒動が大きくなった理由は、キスシーンが60回を超えたことだけではありません。

钟宇飞本人が後に明かしたという、撮影中の行為です。

本人の説明によると、キスシーンそのものについては俳優の仕事として受け入れていました。

しかし実際の撮影では、台本の範囲を超えたとする行為があったと訴えています。

舌を入れられる。

唾液を送られる。

頭を押さえられる。

さらに、唇を噛まれて血が出たこともあったと明かしたとされています。

ここまで来ると、「推しとキスしたかったらしい」という面白エピソードとは話が違ってきます。

問題はキスの回数より、俳優本人が望んでいない行為を拒否できる環境だったのかという点です。

钟宇飞は当時、まだキャリアの浅い新人でした。

仕事を失う可能性や契約上の負担がある一方、相手は作品にお金を出している投資家。

立場の差はかなり大きかったと考えられます。

本人はスタッフ側にも相談したものの、状況を止めてもらえず、我慢するよう求められたという趣旨の説明をしています。

俳優ならキスシーンも仕事。

たしかに、それ自体はそうでしょう。

でも、台本で合意した演技と、その場で一方的に境界線を越えられることは別物です。

新人であるほど、「嫌です」と言った後に仕事がどうなるのかを考えてしまう。

まして相手が出演者であると同時に、資金を握っている人物ならなおさらです。

その意味で、この騒動は「富豪女性の推し活がすごい」という話から、撮影現場の力関係という重い問題へ変わっていきました。

さらに騒動後には、钟宇飞が投資家女性に「養われている」といった噂まで広がったとされています。

本人側はこうした噂を否定。

事件によって知名度は上がりましたが、本人にとっては手放しで喜べるような“バズ”ではなかったでしょう。

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完成した『落魄王爷』は結局どうなった?

ここまでして作られた『落魄王爷』。

では、完成作品は大ヒットしたのでしょうか。

結末はむしろ逆でした。

完成後、配信プラットフォーム側から親密なシーンが多すぎると判断され、20以上のキス・親密シーンが削除されたとされています。

60回以上まで増やしたのに、公開段階で大量カット。

なんとも皮肉な展開です。

しかも問題は、シーンが減ったことだけではありません。

もともとの脚本へ大量のキスシーンを追加し、そこからさらに多数のシーンを削ったため、ストーリーのつながりまで悪くなったとされています。

料理に例えるなら、好きな具材を大量に足したあと、その具材だけまとめて抜いたようなもの。

そりゃ、バランスも崩れます。

視聴者からの評価も振るわず、作品は公開後ほどなく配信停止になったと伝えられています。

そして、ここからさらに揉めました。

投資家女性はキスシーンを大幅に削られたことに不満を持ち、残っていた制作費3万元の支払いを拒否したとされています。

これをきっかけに制作側から撮影の内幕が表に出て、钟宇飞本人も自身の経験を告発。

ドラマ本編より、制作の裏側の方がはるかに大きな話題になってしまったわけです。

なお、日本語圏では制作費について「2000万元」「日本円で約4億円」といった数字も拡散されています。

ただ、総投資額については確実に確認しにくい部分があります。

そのため、「4億円を投じた」と断定するのは避けた方がよさそうです。

重要なのは金額そのものではありません。

女性投資家が作品へ出資し、自ら出演したうえで、撮影内容にも強く関与したとされていることです。

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「究極の推し活」では済まない騒動の本当の問題

この騒動がSNSでバズる理由は、ものすごく分かりやすいです。

「推しとキスしたい」

「じゃあ自分でドラマを作ろう」

「自分がヒロインになろう」

「キスシーンも60回以上にしよう」

普通なら妄想で止まる話を、資金力で現実にしてしまった。

そりゃ、「究極の推し活」と言いたくもなります。

ただ、笑えるのはそこまでです。

この話で本当に引っかかるのは、お金で夢をかなえたことではなく、お金を出す側と断りにくい側が同じ撮影現場にいたことではないでしょうか。

もし双方が納得して60回キスしていたなら、とんでもなく変わった作品ではあっても、ここまで後味の悪い話にはならなかったはずです。

ところが今回は、相手役の俳優が「嫌だった」とする行為を後から具体的に訴えています。

しかも相手は新人。

一方は資金を握る投資家です。

この力関係を考えると、「嫌なら断ればよかった」で片づけるには無理があります。

中国のショートドラマ業界では、資金を持つ人物が自ら出演したり、キャスティングや制作へ強く介入したりする「帯資進組」と呼ばれる現象もあるとされています。

『落魄王爷』の一件が強烈なのは、その力関係がかなり極端な形で表に出たからなのでしょう。

そして、もう一つ興味深いのが「推し活」という言葉です。

推し活というと、好きな人を応援する行為を想像します。

ライブへ行く。

グッズを買う。

作品を見る。

活動を支える。

そこには基本的に、**「推しが好きだから、推しに活躍してほしい」**という方向があります。

でも今回の話は、途中から向きが逆になっています。

「推しを応援したい」ではなく、「自分の願望をかなえるために推しを動かしたい」。

同じ「好き」でも、かなり違いますよね。

お金があれば、普通ならできない夢を現実にできることがあります。

自分がヒロインのドラマだって作れる。

憧れの俳優をキャスティングすることだって、条件次第では可能なのでしょう。

でも、お金で買えるのは出演契約までで、相手の気持ちや境界線まで買えるわけではありません。

「究極の推し活」として笑っていたはずなのに、最後に残るのはそこです。

推しを好きすぎた話というより、「好きだからどこまでしていいのか」という境界線が、妙にくっきり見えてしまった騒動なのかもしれません。

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