「えっ、もう引退したんじゃなかったの?」
そんな声が飛び交った晋平太の突然の復帰。
不意打ちの帰還。
あのアドレナリンでの引退表明から、戦極バトルの復活劇までに、実は知られざる“間”がありました。
ただの引退→復帰では語れない、彼の内側で起きていたこととは?
その見えない時間に生まれた心のうねりを、丁寧にたどってみませんか?
ラップシーンの裏で動いていた“物語”を、じっくりたどってみましょう。
晋平太の引退の経緯は?
ラップバトルが好きな人なら、一度は聞いたことがある名前「晋平太(しんぺいた)」。
ヒップホップの世界で、“伝説級”と言われるラッパーです。
「UMB(ユーエムビー)」っていう大会で2回も優勝してたり、「フリースタイルダンジョン」でラスボス的なポジションを務めてたり…。とにかく、MCバトルのど真ん中にいた人でした。
そんな晋平太が、2019年の秋。
ファンの前でいきなり「引退します」と言ったんです。
その舞台は、10月におこなわれた「アドレナリン2019ファイナル」。
しかも相手は、今やテレビでもひっぱりだこのR-指定(あーるしてい)!
超人気者どうしのスペシャルマッチのあと、突然ステージ上で「これで終わりにします」と宣言。
会場は「え…まじで?」とざわつきました。
でも彼にとっては、ちゃんとした理由があったんです。
ひとつは「もうバトルに気持ちが入らない」ということ。
長いあいだ最前線で戦ってきたことで、正直ちょっと“燃え尽きた”感があったみたいです。
ふたつめは「若い子にチャンスをゆずりたい」って思い。
どんどんレベルが上がっていく若手たちを見て、「自分はそろそろ後ろに下がる時かな」って感じたそう。
そして三つめは、「教える側になろう」と決めたから。
晋平太は「1億総ラッパー化計画」っていうユニークなプロジェクトを始めて、ラップを広める活動に力を入れるようになったんです。
YouTubeでラップのコツを教えたり、子ども向けの講座を開いたりと、バトルじゃないところで新しい道を歩きはじめました。
挑戦の再出発。
だから、彼の「引退」って、ただステージから消えたわけじゃないんです。
もっと広い意味で、ヒップホップの世界を育てるための“転身”だったんですね。
…とはいえ、やっぱりファンからすれば「晋平太がいないラップバトルなんて物足りない!」って気持ち、あったはず。
まさに、主役不在のステージ。
でも、このあと「え、まさか!?」っていう展開が待っていました。
引退からの復帰の理由は?
引退からまだ数か月。
「もうバトルに出ることはないのかな…」
そんな空気が流れていた中、晋平太はなんと、あっさり帰ってきます。
まるで“マンガの最終回で退場したはずのキャラが、続編でいきなり登場する”みたいな展開。
しかも、わずか3か月後。はやっ!
では、なぜ晋平太はあっさり復帰したのでしょう?
実はその理由、ちょっと人間らしくて共感できるんです。
まずひとつ目は、「ラップがやっぱり好きだった」から。
引退してから、彼はYouTubeでの活動やラップ講座を始めて、外からMCバトルを見ていたんですね。
でも見れば見るほど、「あー、自分だったらここでこう返すな」とか、「やっぱステージに立ちたいな」っていう気持ちが、むくむくと湧いてきた。
情熱の再燃。
一度手放したからこそ、改めて「やっぱ俺にはこれしかない」って再確認できたわけです。
たとえるなら、長年付き合って別れた恋人に、「やっぱ君しかいない」って戻る感じ。
ちょっと照れくさいけど、本音です。
ふたつ目は、シーンからの“呼び声”。
バトルイベントの主催者やファンから「戻ってきてほしい」という声が、やっぱり多かったんですよね。
あの独特の韻のスタイル、重厚なラップ哲学。
晋平太にしか出せない空気感を、誰もが待っていた。
こうした“戻れる場所がある”って、実はすごく大きいことです。
どれだけ実力があっても、迎えてくれる仲間がいなければ復帰は難しい。
そして三つ目は、「バトルの意味づけ」が変わったこと。
引退前は、勝ち負けにこだわってた部分もあったそうですが、復帰後の彼はちょっと違います。
“誰かを倒すため”ではなく、“伝えたいことを表現する場”として、MCバトルを捉え直していたんです。
価値観の転換。
これ、まるで料理人が「星を取るため」じゃなく、「お客さんの笑顔のため」に料理を作るようになる、そんな心境の変化。
本人も「引退ではなく、ただの区切りだった」と語っていて、引退を経てラップに向き合う姿勢がアップデートされたように見えました。
つまり、晋平太の復帰って、単に「やっぱ戻ります」じゃないんです。
気持ちの整理をし、ラップとの関係性を見つめ直したうえでの“第二章のスタート”。
むしろ、「本当の晋平太はここから始まる」とさえ言えるかもしれません。
新章の幕開け。
では、その復帰の舞台はどこだったのか?
どんな相手と、どんな戦いを見せたのか?
次の章では、あの“伝説のカムバック戦”を振り返ります。
戦極復帰バトルまで時系列まとめ
さあ、ここからが本題です。
晋平太が「復帰を決意したあと、どんなバトルに出たのか?」
その“動き”を時系列で振り返っていきましょう。
最初のカムバック戦は、2020年1月4日。
大会名は「戦極東海獏丸祭2(せんごく とうかい ばくまるさいツー)」というイベントです。
まだお正月ムードが残る中での参戦。
しかもただの出場じゃありません。チーム戦形式の“新春3on3”に、がっつりエントリーしてたんです。
チーム名は「真ライマーズ」。
メンバーは、晋平太・ミメイ・がーどまんというクセ強めの3人。
ルールは1人ずつ勝ち抜き形式でバトルしていくスタイル。
晋平太が登場したのは、準決勝と決勝の2ステージ。
準決勝の相手は、あの“呂布カルマ”。
東海エリアを代表する超ベテランラッパーであり、クセも強ければ実力も本物。
この組み合わせを見て「これ絶対ヤバいやつだ」と思った人、多かったはずです。
実際、バトルは期待以上の内容でした。
晋平太は、例の細かすぎる韻(いん)を連発。
観客も「うぉぉぉ」とどよめくようなラインを何度も叩き込んで、勝利。
いきなり本気すぎるパフォーマンスに、「これは本物の復帰だな」と誰もが感じました。
完全復活の証。
そして決勝では、梵頭(ぼんず)との対決に。
こちらも名古屋のベテランで、ストリート感あふれるスタイルが特徴。
まったくタイプの違うラッパーとの一戦は、まさに文化のぶつかり合い。
結果は、晋平太チームが惜しくも準優勝。
でも、この大会が終わったあと、SNSでは「晋平太 復活」がトレンド入りしそうなほどの盛り上がりに。
「やっぱこの人がいないと始まらないよな」
そんな声があちこちで聞かれました。
ここから、晋平太の再ブレイクが始まります。
再燃する熱狂。
同年には「KING OF KINGS 2020」「戦極MC BATTLE 第21章」などの大会に次々と出場。
さらに、UMBの東京予選にもエントリーして、ベストバウトをいくつも生み出しました。
しかも彼は、ただ“参加している”だけじゃありません。
大会によっては優勝もしていますし、どのバトルも内容が濃くて、まさに“名勝負製造機”状態。
ラップだけでなく、解説や司会、イベントプロデュースもこなすようになり、まさに多方面で活躍。
「バトルMCから、ラップの伝道師へ」
そんなイメージがぴったりな動き方です。
ただ2023年ごろからは、体調不良で一時的に表舞台を離れることもありました。
けれども、彼のラップに対する熱意が消えたわけではありません。
むしろ、あの短い“引退期間”があったからこそ、彼のラップは深みを増し、言葉の重みが変わったのかもしれません。
進化する表現者。
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